植物や石にも感情がある
植物や石にも感情がある。
触れると感情が伝わってくるのである。
春の緑の葉に触れると葉がはしゃいでいるのがわかる。小さい子供たちが歓声をあげているかのような感情。
若い木に触れると一生懸命に栄養を運ぶ仕事に心をくだいている感情が伝わってくる。
成長しきった大きな木に触れると哲学のようなことを延々考えつづけているような感情が伝わってくる。
石垣の石に触れると、押し黙ってなにかに耐えしのんでいる感情が伝わってくる。そうすることが確かな仕事であるかのように。
雨に濡れそぼった枯れかけの葉に触れると、悲しんで泣いているのが伝わってくる。人間と違うのは、本当に純粋に悲しみの感情だけなのである。恨み、後悔、怒りなどは混じっておらず、ただただ悲しんでいるのである。人間ではけっしてあり得ないような驚くべき純粋さなのである。
地面に落ちたどんぐりに触れてみる。はためにはただ落ちているようにしか見えないのだが、ものすごいバイタリティにあふれた感情が伝わってくる。「やるぞ!やるぞ!やるぞ!成長するぞ!」という純粋で強烈な感情が伝わってくる。
ちなみにプラスティックには感情を感じない。なにも伝わってこない。