私の人生を蝕んでいたもの

生まれてからいままで私にダメージを負わせつづけてきた一つの無意識的な間違った考えがある。

 

それは「対立すること」である。

 

もっと具体的に言うと、善悪の判断を行い、それに関心を向けつづけることである。

親、教員、同級生、大人になってからは同僚、上司ほか今まで関わった人間のなかで自分に不当と思われる害をなした者に反感をもちつづけることである。

 

物心つく前から成長するまでありとあらゆる場面で、善悪の判断をするよう刷り込まれてきたので、この考えが間違いだったなど思いもしなかった。

 

このような精神的態度は悪手中の悪手である。これはただ相手に餌を与えるだけなのである。

 

ある種の害をなしてくる者はもともと分かり合うことのない、自分とはまったく違う人間なのである。そのような者は単純に他者を痛めつけたい動機をもっているだけなのである(そしてフィクションとは違い、かならず自分が安全であることを確かめてから攻撃を行う。つまり現実での攻撃はだいたい"飛び道具"や"背後からの攻撃"なのである)。

 

そのような相手に関心を持ち続けることは、相手との関係を維持し、相手の望む状況を作り上げてしまうのだ。

 

相手と対立し、たとえ自分の正当性を相手に訴えつづけようが、相手が改心することは絶対にない。なぜなら相手は湧き上がる自分の欲求に従っているだけだからである。そういう人間であるという、ただそれだけであり、相手の考えを変えることはできないのである。相手を変えようとする行動は完全に徒労になるのである。

 

そのような相手には反応しない、関心を向けない。その場を去る。そして自分が楽しいと思うことだけに意識を向けるのである。

 

そのようにしていれば、私がこれまでの人生で負ったダメージのほとんどを回避できただろう。

しかし考えてみると、必ず失敗する考えを分別のない幼児の頃から刷り込むなどこんな馬鹿々々しいこともない。こんな世界が尋常なものだとは私には信じられない。